1981年NYのスタジオでの音源のカセットテープ作品です。
工藤さんが、NY生活中に撮影した写真をデジタルプリントした写真付き。(ダウンロード付き)
――その頃ぼくは22歳で、毎夜ロウアー・イースト・サイドを壁から壁を伝う影のように移動していた。世界に自分を投げ出してしまっていて、銃で脅されても英会話の練習をしているようにしか感じなかった。
ベレー帽の彼(Alan Vega)はいつものように毅然として顔を上げて隣の男と話しており、ぼくと目を合うと目を合わせたまま隣と話しながら目玉焼きを乗せたパンを黄身が流れ落ちないように上手に食べてみせた。
その後零下20度の路上で自分の部屋の鍵をなくしたことに気付き、しょうがなく壁を攀じ登って初対面の階下のゲイの夫婦の窓を叩いて入れてもらい、そこから3階の自分の部屋に入り、その翌朝「to Alan」という曲を書いた。